アクティブイノベーションウエスト代表弁護士の木下です。

先日、ヨーロッパチャンピオンズリーグ(通称「CL」)準々決勝において、シャルケ04がインテル・ミラノを破って準決勝進出を決めました。この二つのクラブには、日本代表の内田篤人選手と長友佑都選手が所属しており、日本人対決として大きく取り上げられましたから、サッカーに詳しくなくてもご存知の方も多いと思います。
このCLとは、その年のヨーロッパ最高のサッカークラブを決める大会です。各国の代表選手が勢揃いする点では、有名なワールドカップと同じですが、そのワールドクラスの選手たちが即席の代表チームではなくて、日頃から練習を積み重ね、戦術や連携を極めた各クラブに分かれてしのぎを削るわけですから、CLはワールドカップ以上にレベルが高く、制するのが難しいとも言われています。
インテルはこのCLの前年チャンピオンのビッグクラブです。ワールドカップで日本とも戦ったカメルーン代表のエトオやオランダ代表のスナイデルなど、正にワールドクラスのタレント集団で、下馬評でもインテルが有利とされていました。したがって、シャルケの勝利は大金星で、インテルを倒してCLベスト4に残るというのは本当に大変な快挙なわけです。

こうして日本人初のCLセミファイナリストとなった内田篤人選手は、私が応援するJリーグクラブ鹿島アントラーズの出身で、サポーターは普段から篤人と呼んでいます。私の喜びも格別のものです。
篤人については、その指導に関わった人たちのインタビューを中心に構成された「内田篤人、夢を叶える能力」という書籍があります。この中で多くの指導者が、篤人よりサッカーが上手い子供はたくさんいた、と語っています。ただ、篤人は素直に指導者の話を聞いて、それについて自分なりに考えて、努力する姿勢がずば抜けていたと言われています。篤人が持っていた気持ちや姿勢、頭の良さ…サッカー選手としての技術や身体能力以外の部分が本当に大事なんだと感じるし、それがあれば篤人みたいにあそこまでいける、と語られています。サッカー王国の同じ静岡出身でも、最年少でフランスワールドカップのメンバーに選ばれた元日本代表の天才小野伸二選手とは全く異なる、「小野伸二」にはなれないが、「内田篤人」にはなれるかもしれない…ともコメントされています。そんな篤人が達成した偉業だから、私は余計に嬉しいのです。

一方Jリーグでは、今夏の南米選手権に出場するかどうかで揉めています。南米選手権のために空けていた日程は、先の大震災で中断された国内リーグの試合に割り当てざるを得ず、選手を連れて行くことが難しくなったからです。そこで、篤人などの海外クラブに所属する選手を大量招集する案が出ていますが、これに海外クラブが難色を示しているのです。
この点、FIFA規則がポイントになります。同規則によると、クラブに所属する選手を強制的に代表に招集できる試合は限られていて、日本がゲスト参加する今回の南米選手権はこれに該当しないのです。選手と契約して給料を支払っているのはクラブであって、代表戦を管理する日本サッカー協会ではありませんから、これは当然のことです。代表の試合で選手がレベルアップしてくれて、それをクラブに還元してくれるメリットはあるとしても、怪我のリスクや疲労蓄積など、クラブにはデメリットの方が多いでしょうから。
シャルケも現状では南米選手権に篤人を派遣しない方針のようです。それは残念ですが、それだけ篤人がシャルケにとって必要な主力と考えられている証拠ですから、ここは嬉しくもあります。ただ、同じ方針のクラブばかりだと、日本は南米選手権に参加できなくなり、次回のワールドカップに向けての貴重な強化の機会を失いますから、今後の動向が注目されますね。

さて、CL準決勝はどうなるでしょうか。シャルケの次の相手はイングランドのマンチェスター・ユナイテッドです。マンUの名前で知られる、これまた強豪中の強豪です。
仮に、マンUに勝って決勝まで行けば、その相手はスペインのバルセロナとレアル・マドリードの勝者です。どちらも言わずと知れたスーパースター軍団です。これらのクラブと真剣勝負をすることだけでもすごいことで、勝ち上がることは限りなく難しいでしょうが、ここまで来たら篤人にはてっぺんまで登り詰めて、年末のクラブワールドカップで日本に凱旋帰国する夢を見させて欲しいです。そして、そのときにヨーロッパチャンピオンのシャルケと対戦するアジアチャンピオンが鹿島アントラーズなら、もうしばらく何も要らないです。
ちなみに、先程紹介した書籍は、昨年発売されたもので、勿論今回のCLを反映したものではありません。今、改訂するとしても、かつての指導者たちは「小野伸二」にはなれないが、「内田篤人」にはなれるかもしれない、とコメントするのでしょうか?篤人のここまでの急成長は予想外だったでしょうが、それでも篤人の武器であるパーソナリティは何も変わっていないのなら、その問いに対する答えは、依然として「YES」なのかもしれないし、そうであれば、篤人の活躍は、我々に更に夢や希望を与えてくれますね。
でも、私は、やっぱり「小野伸二」にも「内田篤人」にも、簡単にはなれないと思います。今や世界のベスト4のクラブのレギュラーですから当然のことですかね。ただ、それはそれとして、いくつになっても私も、篤人の成功を支えた素直さや前向きに取り組む姿勢は見習って、大切にしていきたいと思っています。