先日、広島事務所所長の蓮見弁護士と一緒に、カシマスタジアムで鹿島アントラーズ対浦和レッズの試合を観てきました。この両チームは日本でも有数の熱いサポーターに支えられているので(ブラジルの黒いカバン「マーラ・プレッタ」はJリーグでも使えるのか?【Jリーグ開幕】)、会場のボルテージも他のチームの試合とは異なる独特のヒートアップしたものがあります。蓮見弁護士は応援するクラブの試合内容に不満があったようですが(AKBとサッカーとAIW)、私は雰囲気も含めて十分に楽しめました。
さて、この翌日、カシマスタジアムではクラブ誕生の20周年を記念して、オープンスタジアムというイベントがあり、私も参加しました。スタジアムが一般開放され、様々な催しがありました。
選手達によるダンスユニットの出し物なども十分に楽しめましたが、私個人的には実際にスタジアムのピッチに立って、数十人で敵味方に分かれて団体戦をしたことが一番楽しかったです。秋晴れの好天だったこともありますが、サッカーボールを蹴って、裸足でピッチを駆け回るのは予想以上に高揚感があり、テンションが上がりました!天然芝って気持ちいいなぁと改めて思いました。
ところで、この天然芝ですが、日本のプロサッカーリーグであるJリーグでは、Jリーグ規約によってスタジアムのピッチは天然芝であることが義務付けられていますが(Jリーグ規約第29条1項1号)、どのスポーツでもそういう規約があるわけではありません。例えばプロ野球の場合、メジャーリーグでは天然芝の野球場が多いものの、日本の球場ではほとんどが人工芝で、現在内外野ともに天然芝なのは唯一広島のマツダスタジアムだけとなっています。
私は、以前球場関係者のご厚意で、プロ野球の試合の後、あるドーム球場の人工芝のグラウンドに降りて見学させていただいたことがあるのですが、たしかに人工芝は非常に固くて、選手の身体に対する負担が天然芝とは全く異なることがよく分かりました。何よりも身体との摩擦が極端に痛そうで、いかに職業とはいえども、選手は本当に身体を張っていることがよく分かります。実際に天然芝と人工芝に直接触れて比較してみると、プロ野球でスライディングキャッチにトライしたものの捕球できなかった外野手などに対して、しっかりしろと安易な野次を飛ばしにくくなりました。
このように、見た目にも美しく身体に優しい天然芝を一年通して綺麗な緑色に保つことが容易でないのは、その保守管理コストが高いという理由に加えて、そもそも技術的にも非常に難しいという理由があり、これには一口に天然芝と言っても日本芝と西洋芝があって、西洋芝は更に夏芝(ティフトンなど)と冬芝(ベントグラス、ブルーグラスなど)に分類できるものの、日本芝は夏芝しかないことが原因となっています(ちなみにカシマスタジアムでは、西洋芝のケンタッキーブルーグラスを使用しています。踏圧に強い美しい冬芝ですが、暑さに弱い難点があります)。従来日本では、芝生と言えば「野芝」とか「高麗芝」と呼ばれる温暖気候型の日本芝が使用されてきたため、冬になると、黄色みがかった休眠状態となり、常緑の芝生の維持は容易ではなかったのです。ゴルフをされる方なら、高麗グリーン(日本芝である高麗芝のグリーン)とベントグリーン(耐寒性が高い冬芝の西洋芝であるベントグラスのグリーン)の2グリーンを使い分けることで、一年の営業を維持しているゴ
ルフ場があることはご存知だと思いますが、一種類の芝だけで常緑にすることは容易ではないという代表例です。また、最近はオーバーシードという、一年中芝生を常緑にする手法があります。冬場に枯れてしまう夏芝の上から、冬場も緑を保つ冬芝の種子をまいて常緑を維持する技術で、気温が低いため芝コースがなかった札幌競馬場に芝コースを設置するために、JRAが開発したのが始まりですが、夏芝と冬芝の両方の特性を活かして季節ごとにバランスをとることは、かなりの難しさを伴うようです。
このように、日本芝だけでなく、性質の異なる西洋芝を導入するとしても、オーバーシードをするとしても、四季の変化が大きい日本で芝を常緑にすることは、コスト的にも技術的にも大変な作業なのです。Jリーグ規約で難題を突き付けられながらも日本のサッカーファンがJリーグを楽しめるのも、その他競馬ファンやプロ野球の中でも特に広島カープのファンが、常に美しい天然芝の上で身体を張った選手達の力強いプレーを楽しむことができるのも、これらの芝生の管理に関わるエキスパートの方々の日々の努力のお陰です。たかが芝生、されど芝生…時にはそういう裏方さんの偉大な支えを感じながらプロスポーツをご覧になってみると、個々のプレーが更に新鮮に感じられて面白いのではないかと思います。


