弁護士の木下です。

  私が懇意にさせていただいている、カドヤ食堂さんが阪急百貨店本店の催事場に出店され、先週無事に催事業務を終えられました。
  カドヤ食堂さんは、第一回大阪ラーメン覇王に輝いた超有名ラーメン店ですが(大阪ラーメン覇王との出会い)、品質に対するこだわりが極めて強いことから、意外にもこれが催事場への初出店となり、当然のように大盛況となったようです。

 
  ところで、私も、この催事業務に関する契約書のチェックをさせていただいていたため、期間中に、この催事場まで伺って、お客さんの様子やレイアウトなどを見て来ました。私は、このような仕事のときには、だいたい現場を訪れて、自分の目で直接確認するようにしています。この現場主義は、弁護士としての私のこだわりの一つで、特に誰かに言われたわけではないのですが、気が付くと、司法修習生の頃から、続けていたと思います。

  司法修習生時代でよく覚えているのは、梅田にあった有名インド料理店の明渡し裁判において、明渡しを求める家主側の代理人弁護士として、準備書面の起案を任されたことでした。
  このテナントの利用契約の内容が明確でなかったことから、比較的容易に借主に退去してもらえる業務委託契約か、これが難しい賃貸借契約かが争われましたが、両者を分ける間接事実として、店の営業スタイルや料理の単価など、突き詰めると分からないことがいくつかありました。そこで、私は、休日にこのお店を客として訪れて実際に食事をし、指導担当弁護士の先生にそこで確認できた情報を報告してから、それを盛り込んだ準備書面を起案しました。依頼者の方が大変喜んで下さっていたことを覚えており、その後この事件は無事に和解で解決したことから、私は現場主義の大切さを痛感しました。やはり、自分の目で確認して、経験しなくては分からない重要な事実は多いと思います。
  その後、私は、弁護士になってからも、何度か飲食店などの店舗の明渡し事件を受任しましたが、全て一度は来店していて、これまでのところ、その経験をうまく生かして紛争を解決できたと思います。

  また、現場主義といえば、私は、他にも交通事故事件の現場は、なるべく直接確認するようにしています。しかも、できる限り実際の事故発生と同じ時間帯に確認に行くようにしています(夜中の2時頃に発生した交通事故現場に、同時刻に足を運んだときには、我ながらよく頑張っていると思いました(笑))。交通事故現場は、直接見ておかないと、裁判の尋問のときにイメージが湧かないし、写真などの資料は事故発生時の現場の状況とは変わってしまっていることがあるからです。
  たとえば、以前直進車側で受任した直進車と右折車の交通事故で、見通しの良い道路であることを理由に、直進車の前方不注意責任も相当大きいと責められた裁判があり、その根拠となる資料として、相手方から道路の見通しの良さを示す事故現場の写真が提出されました。ところが、この写真は、事故から少し経った時期のもので、事故発生時の夏季には、中央分離帯に青葉が大きく繁り、直進車から見て、右折車はかなり見にくいことが理解できないものでした。この事件では、諸事情から事故直後の実況見分が満足に作成できていなかったので、私が早々に事故現場を見て確認していなければ、誇大な相手方の主張が認められた可能性があるものでした。

  このような建物明渡しや交通事故は、現場主義の大切さを示すサンプルとして基礎的なものですが、他にもやや応用的なサンプルと呼べるものがあるので、次回に続編のお話をします。