前回は現役の世界ミニマム級チャンピオン高山勝成さんとの会食や初防衛祝勝会に出席させていただいたお話のうち、減量などについて書きました(世界の頂から垣間見た景色①~ボクサーの減量~)。
他にも現役世界チャンピオンのお話は興味深いものばかりでしたが、会食時に他の方から、ボクサーの結婚について質問がありましたので、今日はその話をします。
高山さんのは現在独身ですが、実はボクサーの結婚感という話になると、ボクサーの間では超ポジティブな肯定派と超ネガティブな否定派の真っ二つに別れることが多くて、中間的な意見の人が少ないそうです。すなわち、「結婚なんかタイミングだし、早くても遅くても、どっちでもいいんじゃない?!」的な人は少なくて、「ボクサーは結婚した方がもっともっと強くなれるから、早く結婚した方が良い」という意見か、「ボクサーは結婚したら絶対に弱くなってしまうから、現役でバリバリ闘っている間は、結婚しない方が良い」という考えに、はっきり別れる傾向があるということです。
たしかに、辰吉丈一朗さんや長谷川穂積さんなど、夫婦の強い絆が有名だったプロボクサーもいますが、結婚した途端に相手の強烈なカウンターをもらうのが怖くて、思い切り踏み込めなくなったら、急に勝てなくなったボクサーは何人もいるらしくて、高山さんも、そのようなご本人から、実話を聞かされたそうです。絆が人を強くする、というストーリーは美談ですが、リアルな現実は、そう綺麗な話になるとは限らないようです。
私は、「あしたのジョー」と並ぶ人気漫画「がんばれ元気」も好きですが、この漫画の中で、テンプルに強烈なパンチを受けたときの顔の歪み方や脳の揺れ方を示す画像の描写がありました。そして、主人公の堀口元気のようなハードパンチャーから、強烈なパンチを受けたボクサーの顔は、大きく変型するほどいびつに歪んでいましたが、あれを考えると、凶器とも例えられるプロボクサーの凄まじいパンチを受けて、一度恐怖心を抱いてしまうと、身近に守るべきものができた人間は、リング立つ勇気がぐらつくだろうし、結婚を機に弱くなる、という考え方も理解できます。
プロ野球などのプロスポーツ選手は早婚を勧められることが多いですが、ボクサーは、同じスポーツでも、生死に関わる危険と隣り合わせの仕事になりますから、他のスポーツと単純に比べることは難しいかもしれません。結局は、本人の性格によるのでしょうが、ちなみに高山さんは、消極的な否定派らしく、ご自分の性格などを考えると、まだ当分は結婚されないようです。
古来より、世帯をもって守るべきものができて、初めて一人前という考え方がありますが、簡単にそのようには推し量れない世界もあるということだと思います。
高山さんは己の最高の力を引き出す選択をして努力されています。そのような我慢や犠牲を辛いとも思わないで邁進されている高山さんには、何とか夢の4団体完全制覇を成し遂げて欲しいと思っています。