このゴールデンウィーク中になりますが、公益社団法人全日本ゴルフ練習場連盟が主催するセミナーにおいて、「ゴルフ練習場で注意すべき法的トラブルとそのクレーム対応について」というテーマで講演をさせていただきました。
この日は、ゴルフ練習場経営者の方々が約100名集まられて、全部で5部制の講演がありました。
男子プロゴルフの永久シードを持たれている倉本昌弘プロによる「ゴルフ界の未来に向けて」という来賓講演や、東京海上火災の担当者による「ゴルフ練習場向けの保険」の講演などに続いて、私は第5部を受け持ちました。私は以前、ゴルフ練習場の顧問弁護士をしていたため、その経験上ゴルフ練習場経営者が注意すべき具体的なトラブルを取り上げながら、そのクレーム対策として、弁護士が対処するときに心掛けているポイントをお話しました。
私がこの日特に力を入れてお話したのは、ゴルフ練習場で起こるトラブルの中で、比較的対策が後手に回っていて、最近増加しているゴルフスクール内での事故で、ここは判例の事案も図解しながら詳しく取り上げました。
この日取り上げたのは、ゴルフ練習場内のスクール事故に関する東京地裁の判決です。事案としては、ゴルフ練習場に雇用されていたゴルフスクールのインストラクターが生徒の打席に入って、生徒を自分と向い合わせに立たせながらスイングフォームのお手本を見せていたところ、この生徒が前の打席の練習者のスイングしたクラブに首を打たれて、傷害を受け、後遺症が残った事故です。前の打席の練習者に背中を向ける形で、生徒を前の打席のすぐ近くに立たせた位置も悪かったですが、このインストラクターは、スイングフォームを見せていたところ、突然漫然と生徒の足元にある球を一発打ったため、それに驚いた生徒が更に後退して、その瞬間前の打席の練習者のクラブの直撃を受けたという事故でした。
この判決では、約1400万円の損害賠償請求があり、インストラクターだけでなく、その雇用者であるゴルフ練習場に対しても、約850万円の支払が認められました。
もちろん、ゴルフ練習場においては、ゴルフスクールに限らず、単純な練習者同士の事故もありますが、ゴルフ練習場側からすると、ゴルフスクールの事故の場合、インストラクターの個別具体的な指導について、これを逐一現場で是正する機会がないにもかかわらず、それでも使用者責任として、インストラクターと同等の損害賠償責任を負う可能性が高いため、リスクが大きいことがポイントとなります。
ゴルフ練習場経営者の方はご注意いただくとともに、ゴルフの練習者も、最終的な安全確認は自分で責任を持って全うしていただきたいと思います。