アクティブイノベーションウエスト代表弁護士の木下です。

   本日は大阪天神祭の本宮の日です。
   天神祭は全国の天満宮で催されるお祭で、祭神である菅原道真の命日にちなんで25日前後に行われます。この天神祭の中でも、天暦5年(951年)に始まったとされ、日本三大祭にも数えられる大阪天神祭は特に有名で、毎年7月25日の本宮の夜には、御神霊を乗せた御鳳輦奉安船などの多数の船が大川(旧淀川)を行き交う船渡御が行われ、奉納花火が盛大に打ち上げられます。大川に打ち上げられる花火や行き交う船の堤灯灯りなどのコントラストから、大阪天神祭は、火と水の祭典と呼ばれています。
   私も、数年前に乗船させていただきましたが、人混みを避けて船上からゆったりと見ることができる花火は壮観ですし、船からは大川の水面が近く、行き交う船の松明などの火が綺麗に映えて、幻想的で美しく、伝統を感じさせる雰囲気も最高でした。

   ところで、この大阪天神祭が日本三大祭に数えられていることは、先程述べましたが、後の二つが何かご存知でしょうか?
   この点、大阪天神祭に加えて、京都の祇園祭と東京の神田祭を合わせて日本三大祭と呼ぶことが通説とされているようです。インターネットで検索しても、そのように記載されています。ところが、大阪天神祭と祇園祭の二つが三大祭に数えられることは間違いないようなのですが、実は残る神田祭の代わりに、青森のねぶた祭や博多のどんたくを推す声もあり、この通説は確定した定説にまでは至ってないようです。
   こうして改めて考えてみると、日本では「3」という数字が非常に人気があり、三大〇〇の名称による誉れがなされることがとても多いのですが、その中には完全に確定した定説に至っているものと、三つのうち二つはほぼ異論なく定着しているものの、残る三つ目に何を上げるかで票が割れるものがあります。例えば、日本三景の天橋立、松島、宮島は極めて著名で、定説として完全に定着していると思います。また、日本三名園の兼六園、偕楽園、後楽園も同じく非常に有名です。私は、これらの三景や三名園について、上記の名所以外のものを上げた人にお会いしたことがありませんし、当然インターネットなどで検索しても、これらの三つが三景や三名園として記載されています。したがって、これらは、確定した定説タイプの三大〇〇と言えるでしょう(但し、三つの中で、好みが分かれることはあります。私は、三景も三名園も全て訪れましたが、天橋立と兼六園が好きです。私の周りの人の好みですと、三名園のイチ押しについては兼六園で一致するのですが、三景については本当にバラバラで好みが分かれます。訪れたときのメンバーや季節、天候にも左右される可能性がありますから、これは仕方ないですね)。また、日本三名瀑(那智の滝、華厳の滝、袋田の滝)や日本三大うどん(讃岐うどん、稲庭うどん、水沢うどん)も衆目の一致するところです。私は、この三名瀑も全て観光し、その中では一番知名度が低いかもしれないですが、袋田の滝が一番好きです。男性的で滝の王道とも呼ぶべき迫力があります。余談ですが、私は清涼感が大好きなため、結構な滝マニアで、観光地に滝があればほぼ必ずと言っていいほど足を延ばして見に行きます。私のイチ押しは仙台の秋保大滝です。落差があって太い直線的な秋保大滝は、滝のすぐ近くにまで近寄ることができて、そのど迫力を直に体感することができます。少し離れた場所から見る滝なら、屋久島にある大川の滝を推したいです。秋保大滝と遜色のない見事な男性的な滝です。女性的な優しく綺麗な滝なら、北海道天人峡の羽衣の滝がオススメです。いろいろと好みを上げましたが、滝というものはどれも涼しげなだけでなく、形状や水量なども多種多様で、結局どの滝も楽しめます。
   さて、他方三大〇〇と言っても、確実なのは二つ目までで、三つ目になると、票が割れるものも少なくありません。先程の日本三大祭もそうですが、最近私が訪れたものの中には、日本三大奇橋があります。私は、今年の冬に徳島県祖谷(いや)のかずら橋を観光したのですが、この観光名所が岩国の錦帯橋と山梨の猿橋以外の三つ目に入るかどうかについては、争いがあるようです。

かずら橋は、平家の落ち武者伝説に絡む橋で、追手が迫ると橋ごと切り落とせるように、シラクチカズラで編まれて作られています。足元は透け透けで、綺麗なコバルト色をした眼下の祖谷川の流れを見ながら、ぎしぎしと揺れる橋を歩くのは中々のスリルがありました。私には、このかずら橋は、十分に日本三大奇橋に値するように思えましたし、実際に現地の観光案内所には、錦帯橋、猿橋と共に、かずら橋の写真を並べて、日本三大奇橋と称しているポスターがありました。ところが、インターネットの検索などによると、三つ目の奇橋には富山県黒部川の愛本橋など別の橋が上がっていて、かずら橋は入っていないことがあります。

  では、この三大〇〇は誰が決めているのでしょうか?
   一部の三大〇〇の中には、例えば林羅山による三大名泉(有馬温泉、草津温泉、下呂温泉)のように、選択した人物が明確になっていることもありますが、認定機関などはないわけですから、多くのケースではある程度著名なものの中から、世論で決まっていくようです。そうしますと、圧倒的な認知度のあるものを除いて、どうしても一部は争いになり、名乗ったもの勝ちみたいな部分があるかもしれません。
   しかし、三大〇〇と冠を打てるかどうかは観光上は大問題です。その肩書に惹かれて訪れる観光客は相当数に上ると思われるからです。法的には、各自が勝手に三大〇〇と名乗ることには問題ないのでしょうか?
   これが、商品の名前であれば、商標登録によって、三大〇〇という名前の登録を検討できるのですが、名所については、この方法をとることは難しいと思います。したがって、現状では、まず一定の認知度を得たところで名乗っておいて、来てくれた多くの観光客を魅了して、三大〇〇と呼ばれるに相応しいステイタスを固めていくしかないのだと思います。もっとも、三つ目の候補地同士が誹謗中傷し合うなどして、どちらかの観光収入が落ちたりすれば、しかるべき当事者同士の損害賠償の紛争となり、その争いの重要な前提として、三大〇〇とは何かが法的にも認定されるかもしれません。

   大阪で暮らす者としては、日本三大祭の確定した二つの中に大阪天神祭が入っていてよかったです。見応えのあるお祭りですから、是非一度大阪に足をお運びいただいて、日本三大祭として誉れ高き大阪天神祭を堪能していただきたいと思います。