アクティブイノベーションウエスト代表弁護士の木下です。

   今週は、鹿児島、博多、広島と出張中です。私はビジネスホテルでは余り熟睡できませんし、このくらい長距離の移動が連続しますと、さすがに疲労が溜まって、体力的にも精神的にも余裕がなくなることがあります。その結果、指示がせわしく冷たくなるときがあり、留守を守ってくれる大阪のスタッフには申し訳なく思っています。
   それでも各土地の名産を食べられる楽しみもありますから、出張は辛いことばかりではありません。特に、私は趣味の一つとしてラーメンの食べ歩きを上げるくらいのラーメン好きですから、博多や鹿児島のご当地ラーメンを食べる機会に恵まれるのは嬉しいことです。以前、九州のとんこつラーメンは基本的に南に下がる程、こってり度合いが増していくという話を聞いたことがありますが、最近は味の濃い博多ラーメンやあっさりした鹿児島ラーメンも増えていて、余り区別がなくなってきているように感じます。
   その中で、博多に一際あっさりした上品なとんこつラーメンのお店があります。知り合いの税理士さんの顧問先で「六分儀」という屋号なのですが、私はここのラーメンが大好きです。このお店は福岡大学の近くにあり、ラーメン一杯330円という学生さん向けの低価格なのですが、毎日食べても飽きないラーメンがコンセプトで、味の素晴らしさはもちろん、それなりにボリュームもあります。こくがあるのにマイルドな味わいが特徴ですが、とんこつの油分を表面に浮かせて分離させてしまわないで、スープと一体とすることでクリーミーな口当たりの良い味わいになるそうです。上品な薄味のとんこつなのに、旨味はかなりしっかりしていると思います。先日いただいたときも、いつもと同じ安定した美味しさでした。

   ところで、六分儀の社長さんは、いわゆる脱サラをしてこのお店を始められたのですが、長年の勤務時代のご経験から、顧客満足度に対する目線が非常に厳しく、私はその示唆に富んだお話にいつも大いに刺激を受けます。人生の先輩としても、経営の先輩としても心から尊敬できる社長さんです。
   先日、お店に伺ったときには、わざわざ車で博多の事務所まで送って下さったのですが、そのとき社長さんが経営において、日々気をつけておられることをお話して下さいました。勉強になるお話がたくさんありましたが、その中でも、サービスとしての商品の安定性に最も気をつけているというお話が大変印象的でした。要するに、いつ食べても味にムラがなく、安心できるラーメンを提供することが一番大切だということです。そのために、六分儀さんでは経験や勘だけに頼るのではなく、定期的な味の科学的検証を怠らないそうです。
   これを当たり前だと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、意外にこれができていない飲食店、特にラーメン店は多くて、日によって、美味しかったりまずかったりするお店はたくさんあると思います。中には、その日のスープの出来を点数化して話題性にして売り出してみたり、同じチェーン店でも本店の味だけは他の支店とは別格という噂が流れ、それをセールスポイントにして利用しているかのようなお店もあります。社長さんのご指摘は、それでは一時的な流行にはなれても、長期的に顧客が通ってくれる安定したお店にはならないということです。

   このお話を我々の業界に置き換えるなら、いかにして法的アドバイスというサービスを安定して提供できるか、ということになるのだと思います。
   我々は、弁護士業務がサービス業の一つであることを理解していますから、アクセスし易い立地に事務所を開設することにはこだわっています。しかし、商品の安定供給という視点では更に努力する余地があります。我々のような複数の地域に複数の弁護士が所属する事務所の場合、まずはどの地域のどの弁護士が担当しても一定レベルのリーガルサービスを満たしてあげる必要があることは当然ですが、そのベースを備えた上で、事件の種類や顧客の性別、性格などのタイプを踏まえて、更に顧客にぴったりのリーガルサービスを提供してあげられることが理想です。その域まで高めることは容易ではないでしょうが、せっかく複数の地域で複数の弁護士が所属している事務所を経営しているのですから、地域ごとの特徴を把握しながら情報交換に配慮し、専門性を磨き、その高みにチャレンジしていきたいと思っています。

   また、弁護士も人間ですから、体調や機嫌にムラもあり得るでしょうが、それが個々の仕事に影響するようではプロフェッショナルな弁護士とは言えないことは当然です。顧客やスタッフから、体調が悪いのではないかと過度に心配をされるのは良くないし、ましてや彼らから、今日の先生は機嫌が悪いんだなぁとハラハラされるような弁護士は論外だと思います。
   安定したリーガルサービスの提供のためには、弁護士個人の心身の安定が不可欠だということなのでしょうね。

   六分儀の社長さんのお話を参考にして、多少の出張が続いても多少の疲労があっても、安定したブレのないサービスを提供するために、私ももっと頑張らなくてはいけないと思いました。